(長文ですしあくまで主観です。)
千葉県立美術館「アーツ&クラフツとデザイン~ウィリアム・モリスからフランク・ロイド・ライトまで~」展覧会を拝観して
ウィリアム・モリスの思想が、社会主義での労働に喜びを見いだす理想郷へのものだと知った。
アーツ&クラフツの運動から生まれたギルド、スタジオ、商会の数々の素晴らしい作品たちと、アメリカで直線を生み出す機械を受け入れるアーツ&クラフツ運動に変化したことでより多くの層に美しい品を届けるものづくりに流れたことを知った。
ウィリアム・モリスの作品には、自然を暮しのなかで感じたいという清濁併呑さや素朴さが流れているのを感じる。
多分、アメリカで生まれる「美しいもの」と、ウィリアム・モリスの思考した「美しいもの」は、同じではないんだろうな。
展示されていたアメリカで生まれる「美しいもの」は、自然や動物への目線に、大量生産や消費文化という人間の都合によって歪曲された刺激的美しさへアプローチする側面を感じる。
心のふるさとを感じるとき、ひとは美しいと思うという、柳宗悦の言葉が私は好きだな。
今在る場所で背負った人の生み出すものには重みがあるし、逃げて打算的になることで劣化するものづくりの性さがも感じるけど、霞を食べて生きられるわけではないから、理想郷を思い描いても、時間と資金に拘束されることで、制作は制限されてしまう。
とても複雑な現代の社会で、大きな流れの中でものづくりする制限の圧力は想像を超えるんだろうな。
自分のものづくりの活路になるのではと想いから、アーツ&クラフツとデザインの展覧会を千葉県立美術館で観たけれども、暗中模索と五里霧中の道がより深まったのかもしれない。
ウィリアム・モリスの娘の「スイカズラ」の作品の優しさに特に胸打たれた。
女性の純粋な多感さが、きらめくいのちとなって、ほとばしるような情熱が作品から放たれていた。
難しいことをいろいろと考えるけれども、360度回ってみれば、優しさがシンプルに心に流れてくる素晴らしさに感動する。
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